予防と対策

ビフィズス菌は
日本人の長寿の秘訣?

森田 英利

ビフィズス菌は日本人の長寿の秘訣?

世界一長生き!日本人の大腸にはビフィズス菌が豊富

世界保健機関(WHO)が発表した統計によると、男女の平均寿命のランキング1位はなんと日本で84.2歳。2018年時点で、日本は世界一長生きの国になっています。さらに2020年には100 歳以上の長寿者が過去最多の8万450人となり、50年連続で増加しております。日本人の長寿にはさまざまな要因があると言われていますが、理由の一つが「ビフィズス菌」ではないかと考えられているのです。

日本人は、世界的にも腸内にビフィズス菌を持つ割合が突出して多いことがわかっています。このビフィズス菌が短鎖脂肪酸を産生し腸内環境を整える働きが長寿に影響しているのではないか?といった推察から、興味深い研究結果が明らかになりました。

100歳を超える奄美群島の
長寿者の腸内環境とは

長生き大国・日本の中でも高い平均寿命を誇るのが鹿児島県の奄美群島です。100歳を超える百寿者人口が10 万人あたり 166.56人(※全国平均63.76人/10万人 2020年)で、これはなんと全国平均の約3倍の人数。過去に世界最長寿者を3名も輩出しているまさに「長寿の島」です。この奄美群島の長寿者44人(平均年齢98.3歳)の腸内フローラを解析したところ、全国平均と比較して多様性に富んでいることがわかりました。特に注目したいのは、ビフィズス菌の割合です。通常、腸内フローラのバランスは加齢によって変化し、特にビフィズス菌は成年期以降大きく減少します。ところが、奄美群島の長寿者の腸内にはビフィズス菌が非常に多くすんでいることがわかったのです。

年齢による腸内細菌叢の変化
年齢による腸内細菌叢の変化

出典:光岡知足 腸内細菌雑誌 25:113-124,2011 総説より改編

奄美群島の長寿者の腸内には、
ビフィズス菌の割合が多い
奄美群島の長寿者の腸内には、ビフィズス菌の割合が多い

出典:永田・森田ら.腸内細菌学会 2019

ビフィズス菌は
健康寿命を伸ばす秘訣!?

2019年の厚生労働省「簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳です。一方で、平均寿命から介護状態の期間を差し引いた期間を示す「健康寿命」は男性72.14歳、女性74.79歳と、平均寿命との間に10年ほどの差があります。長生きの日本人にとっては、この健康寿命をいかに平均寿命に近づけるかが次の課題といえます。今回の研究では健康上の視点からの解析も行った結果、健康長寿と腸内環境の関係についても示唆されました。やはり健康寿命の長かった人の腸内フローラではビフィズス菌など短鎖脂肪酸を産生する細菌の占める割合が高く、ビフィズス菌をはじめとする有用菌の力で腸内環境を整え、大腸劣化を防ぐことは長寿の秘訣のひとつかもしれません。

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