大腸に迫るリスク

日本人の大腸で活躍するビフィズス菌

日本人の大腸で活躍するビフィズス菌

「ビフィズス菌」と「乳酸菌」の違いを知ろう

大腸内で作られる成分「短鎖脂肪酸」を多く産生し、大腸劣化を予防するために、意識して摂りたいのが「ビフィズス菌」です。「乳酸菌入りの乳製品を毎日、食べているから大丈夫」と思っていませんか?ともに善玉菌としてよく知られているビフィズス菌と乳酸菌、この2つは似ているように思われがちですが特性は大きく異なります。

まず、「乳酸菌」とは乳酸を産生する細菌の総称で、食物繊維やオリゴ糖などを分解して作る代謝物の50%以上が乳酸である細菌のことを指します。ビフィズス菌も乳酸を産生しますが、その量は代謝物の50%に満たないため乳酸菌の定義には当てはまりません。

そして、2つの細菌が棲息する場所も違います。ビフィズス菌は酸素があると生きられないため主に大腸に棲息しているのに対して、酸素があっても生きられる乳酸菌は主に小腸に棲息しています。そのため、大腸内での比率は、ビフィズス菌999に対し、乳酸菌はわずか1しかありません。

また、両者は消化物の中の食物繊維やオリゴ糖などを食べて乳酸をつくり出すという点では共通していますが、ビフィズス菌はさらに短鎖脂肪酸の一種である「酢酸」も生み出します。この酢酸には強力な殺菌作用・抗炎症作用・腸管バリア保護機能があり、抗メタボ作用なども認められたため、近年とても注目されています。

ビフィズス菌と乳酸菌の違い
ビフィズス菌と乳酸菌の違い

※1 出典元:Microbial Ecology in Health and Disease, 1999

ビフィズス菌のはたらき
ビフィズス菌のはたらき

日本人を大腸から支えるビフィズス菌

腸内フローラは指紋のように一人ひとり違うものですが、日本・中国・欧米・アフリカや南米など国や地域レベルでも特徴が異なっていることが発表され、病気の予防や治療に役立つだろうと大変、期待されています。
日本人の腸内フローラの特徴で注目したいのが、ビフィズス菌の多さです。

106人の健康な日本人男女を含む12カ国861人の腸内フローラをメタゲノム解析したところ、日本人はビフィズス菌の比率が平均17.9%を占め、欧・米・中国等の人と比較すると突出して高いことがわかったのです。
そのほか日本人の腸内フローラは炭水化物やアミノ酸の代謝に優れていることや、約90%の日本人が海藻を分解する酵素遺伝子を保有していることなども明らかになりました。また、日本人の腸内フローラには生体に有益な機能が多く含まれることから、先進国のなかで肥満率が低いことや、平均寿命が長いこととの関連性が示唆されています。
日本人の健康をおなかの中から支えているビフィズス菌ですが、その数は加齢とともに減ってしまうため食習慣などでビフィズス菌を増やす工夫が必要です。詳しくは予防と対策でご紹介いたしますので、ぜひ参考になさってください。

国別ビフィズス菌の比率
国別ビフィズス菌の比率

出典元: DNA Res.;23,125-32,2016

監修:森田 英利

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