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- 「大腸劣化」とは
「大腸」の機能が衰えることで、
全身の健康リスクが
高まっている状態のこと。
昨今、腸の重要性が語られており、腸をケアすることの認知は広がってきております。しかし「腸」にはいくつもの部位があり、例えば「小腸」と「大腸」では大きく役割が異なることは、あまり認識されていません。特に「大腸」に関しては、便を形成するだけでなく、腸内細菌が多くすみ、全身の健康と深く関連していることが最近の研究でわかってきましたが、多くの人にはまだあまり知られていないように思われます。
一方で、大腸はもっとも病気になりやすい臓器の1つとも言われています。大腸は消化管の一番奥にあるため、老廃物や毒素が集まりやすい場所ですが、偏った食生活や睡眠不足・ストレスなどで腸内細菌の構成バランスが崩れる(ディスバイオーシス)と、大腸本来の機能が衰えてしまい、全身への健康リスクが高まります。この状態を「大腸劣化」と呼びます。
特に日本では、大腸がんや潰瘍性大腸炎、クローン病など大腸に関する深刻な病気が年々増加しており、大腸がんは2003年以降、女性の部位別死亡率で第1位となっています。さらに最近では、過度な糖質制限食の流行や、さらなる食の欧米化によって大腸を取り巻く環境が悪化しており、日本人の「大腸劣化」はますます進行していると考えられます。
ただし、「老化」とは異なる意味あいで使用しており、「劣化」と表記したのは、ケアや対策を講じることで予防や改善することを意味しております。ぜひ、全身の健康の要である「大腸」についての意識を高めていただき、毎日の生活の中で「大腸劣化」への対策に取り組んでいただきたいと思います。
写真:日本大学消化器肝臓内科提供
「大腸劣化」の状態が続くと、炎症を引き起こしたり大腸の重篤な病気が生じたりするだけでなく、全身の疾患リスクが高まってしまうことがわかってきました。
部位別 死亡率 年次推移(女性・全年齢)
出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html
「腸内フローラ」は、
主に大腸に存在する
最近の研究で特に関心が高まっている「腸内フローラ」は、主に大腸に存在しています。腸内フローラを構成する腸内細菌は大腸に数百種類以上、数百兆個以上もすんでいると言われ、重量にして約1〜2kgもあります。腸内フローラの状態が大腸まわりの疾患だけはでなく、肥満をはじめ脳や神経にまで影響を及ぼすといった論文も多く発表されています。その重要性から腸内フローラは「1つの臓器」と呼ばれるほど重要な役割を担っているのです。
「大腸劣化」は
全身のトラブルへ
大腸に老廃物などが溜まると毒素が発生し、大腸の粘膜に穴があいてしまう症状が起こることがあります。腸管内で発生した毒素や病原菌が腸管壁から体内の血管中へと漏れだして血液を通して全身を巡ると、免疫機能の低下や肌トラブル、脳の異常などさまざまな不調や疾患の原因になってしまいます。つまり、大腸の劣化が全身のトラブルにまで発展する恐れがあるのです。
「大腸劣化」を防ぐには?
大腸劣化を防ぐ重要なキーワードが、「短鎖脂肪酸」です。
短鎖脂肪酸は、ビフィズス菌や酪酸菌などの腸内細菌が水溶性食物繊維などをエサに大腸で発酵して作り出す成分です。短鎖脂肪酸についての詳しい働きや、効果的な増やし方については、本サイト内のコラムで順次紹介していきますので、ぜひお役立てください。