大腸に迫るリスク

鍵となる「短鎖脂肪酸」

鍵となる「短鎖脂肪酸」

研究者の間でも話題!「短鎖脂肪酸」とは

大腸劣化を防ぎたい。その解決の鍵を握る物質として、研究者の間で「短鎖脂肪酸」に注目が集まっています。なぜかというと、腸内細菌の役割の中で最も重要なのは「短鎖脂肪酸を作り出すこと」と言っても過言ではないからです。

短鎖脂肪酸は主に大腸内でビフィズス菌や酪酸菌などの代謝産物として生産され、「酢酸」「プロピオン酸」「酪酸」などの種類があります。健康な赤ちゃんの便には短鎖脂肪酸が多く、酸っぱい臭いがすると言われるのはそのためだと言われています。

「短鎖脂肪酸」の驚くべき健康効果

大腸内での短鎖脂肪酸の役割は、腸内を弱酸性に保って悪玉菌の活動を抑制したり、大腸のぜん動運動を促進して便通を良好にしたり、殺菌・抗炎症作用とともに腸のバリア機能を高めたり、腸管の粘液の分泌や水・ナトリウムなどの吸収を促したりと、非常に多岐に渡ります。

短鎖脂肪酸の健康効果は、大腸にとどまりません。短鎖脂肪酸は腸管で吸収され「全身のエネルギー源」にもなります。さらに交感神経などの神経細胞と結合して神経や脳を活性化させるなど、全身に良い影響をもたらしてくれるのです。

また、脂肪の蓄積を防ぎ代謝を上げてやせやすい体質へ導いたり、脳に直接作用して食欲を抑えたり満腹感を持続させ過食を予防するなど、ダイエット面でもうれしい効果が期待できます。

普段からビフィズス菌や酪酸菌などの有益な菌をおなかの中に増やし、大腸内で短鎖脂肪酸が活躍できる環境を整えておくことが、大腸劣化を防ぐ近道になるでしょう。

「短鎖脂肪酸」の重要な役割
「短鎖脂肪酸」の重要な役割

「短鎖脂肪酸」を効率よく増やすには

短鎖脂肪酸はお酢などの食品にも含まれています。しかし、口から直接摂取しても胃や十二指腸で消化されてしまい、味や臭いの点でも全身の健康に関わるほどの量は到底摂ることができません。短鎖脂肪酸を効率よく増やすためには、食物繊維やオリゴ糖を豊富に含む食品を摂取し、それらを腸内細菌の力で発酵させて「大腸内で自らつくり出す」方法が有効です。

短鎖脂肪酸は、大腸にすむ特定の善玉菌が、水溶性食物繊維をエサとして発酵分解することによってつくられます。これらビフィズス菌や酪酸菌などの善玉菌が不足すると短鎖脂肪酸もつくられなくなってしまうため、日頃から食事や睡眠などの生活習慣に気をつけることが大切です。短鎖脂肪酸をつくる菌がすみやすい腸内環境を整えるために、ビフィズス菌入りヨーグルトなどを積極的に摂って有用菌を腸に直接届け、そのエサの補給として食物繊維を摂る事を心掛ける必要があります。

「短鎖脂肪酸」を効率よく増やすには

監修:松井 輝明

その他の記事を読む

大腸のはたらき

大腸のはたらき

松井 輝明

人間の「腸」は、食道や胃とつながっている消化器の1つで、下の図のように小腸と大腸があります。みなさんは、小腸と大腸の違いをどれくらい知っていますか?小腸は「十二指腸」「空腸」「回腸」から成り、長さは約6~7m。

大腸劣化から全身の不調へ

大腸劣化から全身の不調へ

森田 英利

私たちの腸内には、数百種、数百兆個もの細菌がすんでいて、その総重量は約1~2kgにもなると言われています。そしてこれら細菌は、腸の中で種類ごとにまとまって定着しており、その様子がまるでお花畑(フローラ)のようであることから「腸内フローラ」とも呼ばれます。

日本人の大腸劣化を加速させる、意外な要因

日本人の大腸劣化を加速させる、意外な要因

松井 輝明

テレビで特集された身体に良い食材が流行ったり、フィットネスクラブが大盛況だったりと、人生100年時代を迎えますます健康ブームに沸く日本。それなのに日本人の大腸が今、劣化の危機だと言われるのはなぜでしょう。その理由は決して1つではありません。

日本人の大腸で活躍するビフィズス菌

日本人の大腸で活躍するビフィズス菌

森田 英利

大腸内で作られる成分「短鎖脂肪酸」を多く産生し、大腸劣化を予防するために、意識して摂りたいのが「ビフィズス菌」です。「乳酸菌入りの乳製品を毎日、食べているから大丈夫」と思っていませんか?ともに善玉菌としてよく知られているビフィズス菌と乳酸菌、この2つは似ているように思われがちですが特性は大きく異なります。