予防と対策

「水溶性食物繊維」を摂ろう

「水溶性食物繊維」を摂ろう

食物繊維は「第6の栄養素」

食物繊維とは、人の消化酵素では消化・吸収されない食物中の難消化成分の総称です。以前は人体にとって不要なものと考えられていましたが、現在は研究が進み「第6の栄養素」と言われるほどその有用性が見直されています。

厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2015年)」によると、食物繊維の摂取目標量は1日あたり男性20g以上、女性18g以上(ともに18歳以上)です。しかし、実際の摂取量は年々減少傾向にあり、2017年に行った調査では男性14.6g、女性14.3gと、目標摂取量を大きく下回る結果となりました。昔は米や小麦などの穀物から食物繊維を多く摂取していた日本人ですが、近年は1950年頃と比べて野菜類・果物類の摂取量は変わらないものの、穀類・いも類・豆類の摂取量が著しく減少しており、それに伴って食物繊維の摂取量も減っているとみられています。

日本人の食物繊維摂取量の推移
日本人の食物繊維摂取量の推移

目標量は1994年発表の「第5次改訂 日本人の栄養所要量(厚生省監修)」以降設定
出典:厚生労働省 国民健康・栄養調査(2017)

「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の違い

「繊維」と聞くと、細いスジ状のものをイメージしがちですが、実際はネバネバするものからサラサラした状態のものまで多くの種類があります。食材には水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」の2種類が含まれていますが、大腸内でのはたらきもそれぞれ異なります。

「不溶性食物繊維」は、便のカサを増したり、腸のぜん動運動を活発にしたりして排便を促します。一方、「水溶性食物繊維」は、ビフィズス菌や酪酸菌など善玉菌のエサになったり、便の滑りをよくしたりするはたらきがあります。

食物繊維の大腸での役割の違いと含まれる食材例
食物繊維を多く含む食材

出典:文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)

大腸ケアに欠かせない「水溶性食物繊維」

2種類の食物繊維のうち、大腸劣化を防ぐために積極的に摂りたいのは、ビフィズス菌や酪酸菌など善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維です。腸内でビフィズス菌がたくさん増えれば、産生される短鎖脂肪酸の量も多くなり、全身の健康増進にも役立つからです。しかし、上のグラフを見てもお分かりのとおり、各食材の水溶性食物繊維含有量はそう多くありません。そのため毎日食べる白米を水溶性食物繊維を多く含む大麦入りのご飯に置き換えるなどひと工夫して、無理なく効率的に摂取するのがおすすめです。

水溶性食物繊維のひとつである「イヌリン」は、ごぼうやチコリの根やキクイモなどに多く含まれます。イヌリンは水溶性食物繊維のなかでも「ビフィズス菌を増やす」「短鎖脂肪酸の産生率が高い」と報告されています。

大腸の善玉菌を増やすためにも、普段の食事で不足しがちな水溶性食物繊維を意識して摂りましょう。

水溶性食物繊維イヌリンの有用性
水溶性食物繊維イヌリンの有用性

出典(左):日本農芸化学北海道支部・日本栄養・食糧学会北海道支部合同支部会発表資料;12,2-3,2017
出典(右):日本農芸化学会北海道・東北合同支部会発表資料、2018.9.22-23

出典(上):日本農芸化学北海道支部・日本栄養・食糧学会北海道支部合同支部会発表資料;12,2-3,2017
出典(下):日本農芸化学会北海道・東北合同支部会発表資料、2018.9.22-23

監修:松井 輝明

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