大腸に迫るリスク

大腸のはたらき

大腸のはたらき

小腸と大腸それぞれの特徴

人間の「腸」は、食道や胃とつながっている消化器の1つで、下の図のように小腸と大腸があります。みなさんは、小腸と大腸の違いをどれくらい知っていますか?

小腸は「十二指腸」「空腸」「回腸」から成り、長さは約6~7m。表面積はテニスコートで例えると約1面分にもなります。小腸の主な役割は、胃で溶かされて運ばれてきた食べ物から栄養をアミノ酸やブドウ糖、脂肪酸などに分解して吸収し、食べカスを大腸に送ることです。また、体の免疫細胞のほとんどが小腸にあるため、感染予防やアレルギーなどの免疫機能とも深い関わりがあります。

一方、大腸は「上行結腸」「横行結腸」「下行結腸」「S字結腸」「直腸」から成り、長さは約1.5~1.7m。表面積はテニスコート半分ほどです。大腸の主な役割は、小腸から送り込まれた食べカスから水分やミネラルを吸収して便を生成し、肛門から排泄されるまで一時的にためておくはたらきを担っています。また大腸は、小腸と比べて腸内に酸素がほとんどないため、嫌気性菌の多い腸内細菌のほとんどが大腸にすんでおり、小腸にいるものとは種類が異なっているのも大きな違いです。

小腸と大腸の各部の名称
小腸と大腸の各部の名称
小腸と大腸の違い
小腸と大腸の違い

研究で明らかになってきた大腸の重要性

ひと昔前までは、大腸は便を作って出すだけの器官だと思われていました。しかし近年の研究で、大腸の腸内環境の重要性が続々と明らかになっています。

消化器官の終点である大腸は老廃物がたまりやすい場所であるため有害物質が発生しやすく、小腸と比べて、また他の臓器の中でも病気になりやすい臓器です。日本人女性のがんの死因トップである「大腸がん」をはじめ、難病指定されている「炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)」や「大腸憩室症」など、よく知られているものだけでもいくつもの病気があります。

炎症性腸疾患は日本で年々増加傾向にあり、2014年には潰瘍性大腸炎患者数が17万人を、クローン病患者数が4万人を超えました。※1主な症状は下痢や血便、腹痛、発熱、貧血などですが、発病後10年以上長期化すると大腸がんを発症するリスクが高まることが知られており、注意が必要です。大腸が私たちの身体に深刻な影響を及ぼす恐れがあることを理解し、日頃から大腸を良い状態に保つよう心がけることが大切です。

※1 厚生労働省 衛生行政報告例 特定医療費(指定難病)受給者証所持者数,対象疾患別(2019年8月8日現在)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/36-19.html

かかりやすい大腸の疾患
小腸と大腸の各部の名称

監修:松井 輝明

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