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シニアの便通実態調査②
“ミイラ便”は、全身不調や見た目・
幸福度にまで影響する!?
全国の60~80代男女600名を対象に行った調査によると、その半数が常に快便ではなく、50代以降から便秘になる人も多いことが分かりました。硬く固まって出しにくい “ミイラ便”になっている可能性も示唆されています。
今回は、便秘気味の人の困ったエピソードのほか、抱えている心身の不調や見た目、幸福度に及ぼす影響などを中心にお伝えします。結果については、内科医の工藤孝文先生と工藤あき先生にコメントをいただきました。
[調査概要]
■ 表 題 : シニアの便通実態調査
■ 調査主体 : 「大腸劣化」対策委員会
■ 調査期間 : 2023年3月31日(金)~4月2日(日)
■ 調査方法 : インターネット調査
■ 調査対象 : 60代~80代 男女600名 日本国内在住
1.便秘は
日常生活にも支障をきたす!?
便秘気味の人の8割近くが「生活に支障」
そのうち3人に1人以上が「ストレスを感じる」「トイレの時間が長い」「おならの回数が多い」
便秘で人には言いづらい困ったエピソードも…
お腹の調子が悪いことが原因で生活に支障がでているか聞いたところ、便秘気味の人の約8割に何らかの支障が出ていることが分かりました。具体的にみると、多い順に「ストレスを感じる」「トイレに入っている時間が長い」「おならが出る回数が多い」という結果に。また「外出や社会活動に出向くのが不安」という方も、比較的多く見られました。
便秘で困ったエピソードについては、お腹が張ったり、ストレスで家族にいら立ってしまうといった日常的なものから、外出することを躊躇してしまうほどの大きな支障まで、日常の様々な場面で悪影響を及ぼしている様子が伺えます。
2.体は敏感!旅行に行くと
便秘になりやすい人が3割以上も
便秘になりやすいのは「旅行のとき」「環境が変わったとき」「ストレスを感じているとき」が多く、5人に1人以上が「常に調子が悪い」
便秘になりやすい時を選んでもらったところ、旅行先で便秘になりやすい人が3割を超え、環境が変わった時になりやすい人も2割以上という結果になりました。このことから、腸内の環境はまわりの環境変化とも大きく関係していることが伺えます。旅行や新しい環境で他人と行動を共にする際には、気遣いやストレスなどから便秘になりやすくなるのかもしれません。
3. なんと全身の不調や見た目年齢・幸福度まで、便秘と関連!?
便秘気味の人は、
快便の人より約1.7倍も体の不調を感じている
体の不調の中から当てはまる項目すべてを選んでもらったところ、便秘気味の人は快便の人に比べて約1.7倍も多い結果となりました。便秘気味の人ほど多くの不調に悩まされていることが、ここから伺えます。感じられた不調には、お腹に直接関係しなさそうな全身の不調が多く含まれていました。大腸は全身の健康の『要』と言われるように、腸内環境が乱れた便秘気味の状態は、お腹以外の不調も招きやすくなることが考えられます。
便秘気味の人は実年齢より
上に見られることが多く、幸福度は低い傾向に
さらに外見について聞いたところ、快便の人は実年齢より下に見られ、便秘気味の人は実年齢より上に見られる傾向が浮き彫りになりました。特に快便の人の方が便秘気味の人に比べて、下に見られる人の割合が2割近くも多くなりました。腸内環境が乱れるとニキビや肌荒れを引き起こすと言われるように、お腹とお肌の状態も相関し、見た目にも影響しているのかもしれません。また、自分自身がどの程度幸せか、10点満点で自己採点してもらったところ、便秘気味の人の平均が6.6点と快便の人に比べて幸福度が低い傾向が伺える結果となりました。
<監修医師コメント>
日本人のお腹の味方・ビフィズス菌で、“ミイラ便”対策を。
「たかが便秘」と軽視されがちですが、放置していると重症化するだけでなく、大きな疾患に繋がるリスクもあるので注意が必要です。今回の調査では、便秘によって生活に支障が出ている実態も明らかになりました。全身の不調を未然に防ぐためにも、便秘を改善し腸内環境を整えることは重要です。
便秘気味の人に多い、硬く固まって排出しにくい“ミイラ便”を招く原因の一つには、水分不足が考えられます。加齢に伴い肌は乾燥を実感しやすくなりますが、それは体内の水分量が減っているため。すなわち便の水分量も減っているということです。大腸に長く滞留すると、便も水分を失って“ミイラ便”に変貌してしまいます。また水分だけではなく、食物繊維とビフィズス菌もとても大切な働きがあります。食物繊維は水分保持や善玉菌の働きを活性化し、善玉菌は腸内環境を良好にしてくれます。水分、食物繊維、ビフィズス菌は腸内環境を整える“3種の神器”と言えるでしょう。
“3種の神器”のうちビフィズス菌は善玉菌の代表格。ヒトの大腸に多く棲み、整腸作用に大きく寄与します。実は日本人の腸内フローラに占めるビフィズス菌の割合は、諸外国の人々に比べて高く、日本人の健康を守る存在とも言われてきました。しかし、年齢を重ねると腸内のビフィズス菌は減少し、腸内フローラのバランスは乱れがちです。これがシニア世代の便秘の要因の一つでもあります。ビフィズス菌入りヨーグルトなどでビフィズス菌をお腹に届けて、不調の連鎖をストップさせましょう。
水、食物繊維、ビフィズス菌—あとはリラックスして毎日を過ごすこと。便秘改善に必死になってストレスになるようでは、腸の動きが鈍くなり「ミイラ取りがミイラになる」事態にもなりかねません。
出典:光岡知足 腸内細菌雑誌 25:113-124,2011
総説より改編
監修:
工藤孝文(工藤内科 院長 内科医・糖尿病内科・総合医療医・漢方医)
プロフィール:福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後は大学病院での勤務を経て、現在は福岡県みやま市の工藤内科で地域医療に尽力。糖尿病、肥満治療、東洋医学、漢方治療の専門家としてメディア出演も多数。
監修:
工藤あき (工藤内科 副院長 消化器内科医・美腸・美肌評論家)
日本内科学会認定医・日本消化器病学会専門医・日本消化器内視鏡学会専門医。一般内科医として地域医療に携わりながら、腸内細菌・腸内フローラに精通。腸活×菌活を活かした美肌・エイジングケア治療にも力を注いでいる。植物と美の関係をひもとく、日本でのインナーボタニカル研究の第一人者としても注目されている。その美肌から「むき卵肌ドクター」の愛称で親しまれ、メディア出演多数。
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